Column

クリニック開業コラム

クリニック開業が失敗する理由とは?しくじりポイントと対策を紹介

「念願の開業を果たしたが、借金だけが残って閉院した」
「理想の医療を目指したはずが、集患できない」

そんな最悪の事態だけは避けたい。
開業を志す先生であれば、誰もが一度は抱く不安ではないでしょうか。

実は、クリニックの失敗にはいくつかの「パターン」があります。
本記事では、倒産のリアルな数字から、多くのドクターが陥る「5つのしくじり」、そして失敗しないための対策をセットで紹介。ぜひ「転ばぬ先の杖」としてご活用ください。

クリニックを開業しても倒産する時代

開業という大きな決断の前に、足元で起きているリアルな数字を確認しておきましょう。帝国データバンクの調査によると、クリニックを含む医療機関の倒産が、これまでになく早いペースで増加しています。

■ 医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は35件
■ これまで最多だった2024年上半期の34件を超えるペース
■ 年間では70件規模に達する可能性

内訳を見ると、クリニック(診療所)の倒産も12件発生しており、「倒産するのは大病院の話だろう」というわけではありません。開業すればそれで安定という時代ではないことがわかります。

※出典:帝国データバンク┃医療機関の倒産動向調査(2025年上半期)2025年7月8日

クリニック開業の5大失敗要因

クリニックの開業は、医療スキルだけでなく「経営の視点」が欠かせません。資金、立地、スタッフ、コンセプトなど複数の要素が絡み合うため、どこか一つでも準備が不足していると開業後に負担が押し寄せることも。ここでは、失敗を招きやすい5つのポイントを取り上げて、どこに落とし穴があるのかを整理します。

1. 資金計画の甘さによる運転資金不足

開業に熱い想いを抱く先生ほど注意したいのが、「クリニックへの過剰投資」です。
「最新のMRIを入れたい」「ホテルのような内装にしたい」というこだわりが、開業初期にかける費用が膨れ上がり、最も重要な「運転資金」を圧迫してしまいます。クリニック経営において、開業直後から黒字になることは稀なもの。患者が定着するまでの半年〜1年ほどは赤字が続く前提で、手元の現金を残しておかなければなりません。
設備にお金をかけすぎてしまうと、スタッフの給与や広告費にお金が回らなくなり、「立派な医療機器はあるが、患者もスタッフもいない」という倒産予備軍の状態に陥ってしまいます。

【しくじりポイント】
こだわりに資金をかけすぎた

2. 立地選定のミス

「駅近だから人が来るだろう」「家賃が安いから経営が楽だろう」といった安易な理由で場所を決めてしまうと、後になって苦境に立たされるリスクがあります。
「その地域で見込める患者数」「競合クリニックの数」などをデータで分析する「診療圏調査」を行わないまま開業すると、ターゲット層の人口や動線、競合の強さなどを見落とし、ニーズと合わない場所を選んでしまうことに。クリニックの集患は立地の影響が非常に大きいため、感覚ではなく数字の根拠が欠かせません。

【しくじりポイント】
診療圏の「数字の裏付け」を確認しなかった

3. スタッフマネジメントの崩壊

勤務医時代は病院という組織がスタッフを管理してくれていましたが、開業医になれば院長自身が人事・労務の責任者。
よくあるトラブルの種としては、開業日が迫る焦りから、「とりあえず人数を揃えよう」と基準を下げて採用してしまうこと。クリニックの方針に合わないスタッフや、スキル・意欲の低いスタッフが入り込んでしまう可能性があります。

また、マニュアルや研修が一切ないまま、「見ればわかるだろう」「常識で判断して」と現場に丸投げするのも崩壊する原因。何が正解かわからず、ミスや離職にもつながります。スタッフが辞めてしまうと、オペレーションが回らなくなり、患者を待たせ、評判を落とすという負のスパイラルが始まってしまいます。

【しくじりポイント】
採用・教育の優先順位を後回しにした

4. コンセプトと患者ニーズのズレ

「大学病院レベルの専門的な治療を提供したい」という院長の想いと、「風邪や腹痛を気軽に診てほしい」という地域住民のニーズが乖離しているケースです。これを「プロダクトアウト(売り手都合)の失敗」と呼びます。

例えば、住宅街のど真ん中で高度な専門外来を掲げても、そのニーズを持つ患者の絶対数は限られています。地域のかかりつけ医として求められているのは、親しみやすさや何でも相談できる雰囲気であることが多いのです。
地域のニーズ(マーケットイン)を無視してやりたい医療だけを追求してしまうと、患者が集まらず、最終的にコンセプト変更を余儀なくされることになりかねません。

【しくじりポイント】
地域のニーズより「やりたい医療」を優先した

5. 経営の知識やノウハウ不足

医療と経営は全く別のスキル。経営の知識やノウハウが不足していることも、失敗要因の一つです。
固定費・人件費・広告費のバランスを把握できないまま運営すると、赤字の原因に気づくのが遅れ、資金ショートにつながることも。

稼働率や客単価の改善ポイントが不明だと、集患施策が場当たり的になることもあるでしょう。クリニック運営に問題が起きても「どこを直せばいいか」が判断できず、改善の対応が遅くなってしまうのです。

【しくじりポイント】
経営上の問題に気づけなかった

開業で失敗しないための対策

クリニックの開業で失敗しないためには、失敗パターンごとに押さえるべきポイントがあります。

【資金】初期投資を抑え、半年分の現金を残す

開業後の生存率を高めるには、手元の「現金(キャッシュ)」を厚くすることが重要です。
初期投資においては、医療機器や内装に優先順位をつけましょう。最初からフルスペックで揃えるのではなく、患者数が増えてから買い足す、あるいはリースを活用するのも選択肢の一つです。

そして何より重要なのが「運転資金」の確保。開業当初は赤字が続くことを想定し、家賃・人件費・生活費を含めた固定費の最低でも半年、できれば1年分をプールしておきましょう。この余裕資金があれば、集患が予想より遅れても焦らずに経営改善の手を打つことができ、精神的な安定にもつながります。

【立地】「診療圏調査」と足を使う

立地選びで失敗しないためには、精度の高い「診療圏調査」を行うことです。
簡易的な人口データだけを鵜呑みにするのではなく、詳細な診療圏調査を行い、そのエリアの「昼間人口と夜間人口の違い」「年齢構成」「競合クリニックの患者数や評判」を数値化しましょう。

また、データだけでなく、実際に自分の足で現地を歩くことも大切。「駅からクリニックまでの動線に坂道はないか」「看板の視認性は良いか」「駐車場の入りやすさはどうか」など、患者さん目線での物理的なハードルを確認しましょう。
メディカルシステムネットワークでは、開業を目指す先生へ向けて無料で診療圏調査を行っています。以下のページからご確認ください。

【無料】メディカルシステムネットワークの診療圏調査

【人材】スキルと人柄のバランス

クリニックの印象を左右するのは、スタッフの対応も大きいです。採用基準をできるだけ明確にし、人柄とスキルのバランスで判断することが大事。面接では「他スタッフと上手くやれそうか」「素直さがあるか」といった人柄やストレスへの耐性に注目したいところです。合わなかった場合のリスクを想定して、3〜6ヶ月程度の試用期間を設けましょう。
また、開業前にマニュアルや就業規則も整備する必要があります。仕組みづくりをすることで、院長として診療・経営に集中できるような体制を準備しましょう。

【コンセプト】地域ニーズに即した「差別化」

クリニックのコンセプトは、「地域のニーズ(需要)」と「自院の強み(供給)」が重なるポイントで設計しましょう。
例えば、競合が待ち時間の長い大病院ばかりなら、「Web予約で待たせないスマートなクリニック」。高齢者が多い地域なら、「訪問診療への対応」や「生活習慣病の丁寧な管理」が求められるかもしれません。
もちろん「自分が何をやりたいか」も大切ですが、「地域に何が足りていないか」を徹底的にリサーチ。足りない部分を埋めることが、選ばれるクリニックになるためには必要です。

【経営ノウハウ】実績豊富な「開業コンサルタント」の活用

「餅は餅屋」と言うように、経営の判断や複雑な開業手続きは、プロである「クリニック開業コンサルタント」を活用するのが賢明です。
物件交渉や融資戦略など、開業に必要な知識は膨大かつ専門的。これらを全て独学で行うのは時間的コストが大きく、ミスをした際の代償も甚大です。
コンサルタントは、事業計画の策定、資金調達、物件選定、集患戦略といった開業までのプロセス全体を伴走者としてサポート。経営の悩みを先生一人で抱え込む必要はありません。
それでは、信頼できるコンサルタントはどのように選べば良いのでしょうか?次で説明します。

クリニック開業コンサルタントの選び方

クリニック開業は専門領域が広く、一人で完璧に進めるのは現実的ではありません。どのようなコンサルタントと組むかで準備の質もスピードも大きく変わります。ここでは、信頼できるパートナーを見極めるためのポイントを3つに絞って紹介します。

専門分野における実績と知見があるか

まず見たいのは「どれだけ支援してきたか」ではなく、自分のケースに近い実績を持っているかという点です。その理由は、同じ開業でも、内科と皮膚科では必要な設備も来院動機もまったく違いますし、都心と地方では集患戦略が変わってくるため。
自分と似た診療科やエリアの経験が豊富なコンサルタントであれば、机上のアドバイスではなく「現場で効いた具体策」を提案してくれます。

契約内容と料金体系がクリアか

契約前に必ず確認したいのが、サポートの範囲と料金体系がクリアになっているかという点です。どこまで手伝ってくれて、何にいくらかかるのかが曖昧なまま話を進めるのは危険。以下の項目をきちんと書面で説明してくれるかチェックしましょう。

■ サポート範囲(事業計画、内装、採用、行政手続き、開業後支援など)
■ 料金体系(パッケージ料金なのか、内容ごとに費用が発生するのか)
■ 追加費用の条件はあるか
■ コンサル側と先生側の役割分担

開業後も継続的なフォロー体制があるか

開業はゴールではなく、経営のスタートに過ぎません。特に最初の数年間は、集患の伸び悩みやスタッフの入れ替わりなど、予期せぬ経営課題に直面するもの。契約が「開業まで」で終了するコンサルタントではなく、開業後の経営相談、マーケティング支援など継続的なフォロー体制が整っているかを確認しましょう。長期的な視点でクリニックの成長を共に支えてくれるパートナーを選ぶことが大切です。

クリニックの開業なら『メディカルシステムネットワーク』にお任せください

メディカルシステムネットワークには、全国展開している調剤薬局事業のネットワークを活かして、医師と共に「地域医療」を創り上げるというビジョンがあります。
そのため、クリニックの開業という夢を無料のコンサルティングでサポートしております。

★Point 01 コンサルタント料金は「無料」
開業のコンサルタント費用はかかりません。
「地域に根差した医療を先生と一緒につくる」というビジョンのもと、調剤薬局の併設も視野に入れながら支援いたします。

★Point 02 開業準備のすべてを任せられる「ワンストップ体制」
開業には資金計画・設計・広告・求人など多くの準備が必要です。
担当者がパートナーとなり、専門業者と連携しながら事業計画から採用までトータルで支援いたします。

★Point 03 開業後も続く「アフターフォロー」
開業した後もサポートは続きます。
健康セミナーや講演会の開催支援など集患・増患につながる企画をご提案。医業承継を考えるタイミングでの準備もサポートします。

★Point 04 集患に有利な「メディカルモール」も守備範囲
複数の医療機関を同じ敷地に集めることで、患者さんは一度に複数の診療科を受診可能。
先生方にとっては施設共有によるコスト削減や集患効果で効率的な経営ができます。

★Point 05 「診療圏調査」を無料で実施
独自のデータベースを基に、診療圏のマーケティング調査を無料でご提供。調査だけのご相談も可能です。

開業準備から開設後の医院経営まで、調剤薬局事業で培ったノウハウを活かしてサポートいたします。まずはヒアリングにて、理想のクリニック像をお聞かせください。

お問い合わせはこちらから

まとめ

クリニック開業の失敗が遠い話ではないことを示す倒産データから始まり、「資金」「立地」「人材」「コンセプト」「経営ノウハウ」という5つの失敗要因と、それらを回避するための対策を解説しました。

開業の成功は、経営者としての計画性と危機管理能力に左右されます。初期段階で過剰投資を避け、運転資金に余裕を持たせること、そして客観的なデータ(診療圏調査)に基づいて戦略を立てることが、安定した経営の土台となります。

資金計画、立地選定、スタッフ採用、そして集患戦略。これら全てを、日々の診療の傍らで、先生お一人で完璧にこなすのは至難の業です。しかし、全てを一人で背負い込む必要はありません。開業準備に不安を感じる場合は、ぜひ「開業コンサルタント」をパートナーとしてご活用ください。
メディカルシステムネットワークでは、先生の「地域医療への貢献」という志を支えるため、調剤薬局事業で培ったノウハウを活かした無料コンサルティングを提供しております。お気軽にご相談ください。

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